第5話 なぜ? 花粉症の激増


 毎年、お正月が開けてしばらくすると、だんだん気が重くなるかたも多いと思います。そう、花粉が飛び始める嫌な季節の到来です。例年、スギであれば1月末から桜の花が咲き始めるころまで、花粉症の症状が続きます。

 目がかゆい、くしゃみが出る、から始まり、目がゴロゴロする、涙が止まらない、鼻が完全に詰まる、夜中に咳が止まらない、とだんだん重くなってきます。さらに、身体の節々が痛む、頭が重い、微熱があるようだ、になると集中力にも欠けて仕事になりません。

 こんなつらい病気が今やほんとうにポピュラーになり、誰がなってもおかしくありません。しかし、20年前はまだまだ知られておらず、ほとんどの人は「花粉症」という言葉すら聞いたことがなかったと思います。

 ではなぜ、伝染病でもない花粉症が日本でこんなに急に増えたのでしょう。
  花粉症はアレルギーの病気です。本来、人の身体を細菌や異物から守るために働く免疫のシステムが暴走した状態です。
 例えばスギ花粉症であればスギ花粉に過敏に反応する人が発病します。体質もありますし、どんな物質にもアレルギーを持つ人がある程度の割合で出てきます。また、スギは裸子植物、風媒花で古いタイプの植物ですから、人間がオランウータンなどの祖先と別れる(500万年前くらい)ずっと以前から地球上に存在します。ですから、いつの時代も人口に対して同じ割合でスギ花粉症の人がいるなら自然です。

 人口が増えているからスギ花粉症も増える?
 ところが、ここ20年の我が国でのスギ花粉症の増え方は、そんなことでは説明できないくらい急激です。

 では、どこに原因があるのでしょう。

 いろいろなものがアレルギーを起きやすくしたり、ひどくしたりしていると言われています。
 例えば、車の排気ガス。特にディーゼル粉塵は花粉について花粉を大きく見せて、身体が花粉を無視できないようにしていると言われています。スギで有名な日光で、国道沿いの小学校とそうでない小学校を比べると、国道沿いの学校で圧倒的にスギ花粉症の児童が多いという報告があります。

 また、昔に比べて寄生虫や細菌の感染が少なくなり、身体の免疫システムに余裕が出来たので、スギ花粉のようなものにも反応するようになった、という説もあります。

 さらに、人間の作り出した殺虫剤や除草剤、防虫剤など、シンナーやペンキなどの有機溶剤、色素や防腐剤などの食品添加物といった化学物質も花粉症を起こしやすく、ひどくすることが実験的に確かめられています。

 他にもタバコの煙、紫外線、電磁波もよくありませんし、体調の崩れや精神的なストレスも悪く働きます。

 これは、人を取り巻く環境が大きく変わってきたため、スギ花粉症が起こりやすく、また重症になり易くなっていると考えることが出来ます。また、このことはスギ花粉以外のアレルギーや、アトピー、喘息などでも言えるのではないでしょうか。

 人は、もう長い間、スギ花粉やその他の花粉、ダニ、イヌやネコ、鳥など、今日、アレルギーや喘息の原因である生物と仲良く暮らしてきました。今になって、それが突然悪いものになるには、体質や原因物質の他に、3つ目の要因が必要です。それが先に挙げたようなものです。
 こう考えると、花粉症は、アレルギーの病気であると共に、環境病とも言えるかもしれません。原因を取り除いたり、薬を使うと共に、身近な環境を整えることが治療に重要です。

 花粉症でお悩みのかたは、一度、こうした視点から身の回りを点検して、対策を立て直してみて下さい

 今回の話に関連して、いろいろな化学物質が人の健康に、生態のバランスに影響しているという環境問題(?)について、またの機会にお話ししましょう。