第2話 眼科検査は映画館!?


 眼科の検査と言えば、まず視力検査が思い浮かぶのではないかと思います。幼稚園や小学校から何度となく繰り返され、よくご存じのことと思いますが、眼科の検査にはもっといろいろなものがあります。

 よく行われる検査としては、近視や遠視、乱視などを測定する屈折検査、瞼や白目、黒目などを詳しく診る細隙灯顕微鏡検査、網膜など目の玉の中を診る眼底検査、目の玉の圧を計る眼圧検査などがあります。また、見える範囲を測る視野検査、色の見え方を調べる色覚検査、黒目の出っ張り具合を診る検査、涙の量を量る検査もあります。

 他にももっとたくさんの検査がありますが、今日は白目や黒目の表面を詳しく診たり、白内障の程度や瞼の病気も診る細隙灯顕微鏡検査についてお話ししましょう。

 目は物を見るための器官ですので、光が目の一番奥にある網膜まで入って来なくてはなりません。このため、角膜(黒面の表面)、前房(角膜と茶目の間のきれいな水が溜まっている小さな部屋)、水晶体(ピントを合わせるためのレンズ)、硝子体(目の中の透明なゼリー状の物質)など透明な組織が多いのです。

 透明なものは周りが明るいと非常に見にくくなります。たとえばホテルのロビーなど入り口近くが大きなガラスになっていて、外が明るいとガラスが解りにくくなります。時にガラスが見えなくて激突して大けがをする人が出ますので、今は大抵、ガラスの真ん中当たりに横縞を入れたり、丸いぽっちを並べたりして注意を促しています。

 目の検査でも同じで、全体を明るく照らしてしまうと、透明なものは当然透明になって見えなくなります。そこで、細隙灯顕微鏡検査は、薄暗い部屋で光を細くして(細隙灯:スリットランプとも言います)やや斜めから目に光を入れます。そうすると、人間の組織は透明でも全く無構造ではないので、光の通り道でそれぞれの透明な組織の断面を見ることが出来ます。


細隙灯顕微鏡
  この原理は映画館に喩えることが出来ます。上映前、明るい時には見えなかったチリが、上映が始まると光の通っているところだけはっきりと見えるのに気付かれたことがあると思います。これは光の通り道で空気の断面を見ているのです。

 細隙灯顕微鏡検査で目の透明な組織を見る原理は、実はこんな簡単な事だったのです。でも、最初に気付いた人は偉い!ノーベル賞ものだと思います。いまや、この器械のない眼科の診察など考えられませんから。

 他にもいろいろ変わった眼科検査がありますから、機会がありましたらお話ししましょう。